シャワーを終えてリビングに戻ると、男はソファに身体を預けてぼんやりと窓の外を眺めていた。 ガウンを引っ掛けただけの背中は丸まって、肩が前に突き出ている。疲れているんだろうか。まるで父親を見ているみたいだと思う。と言っても春妃にとって『疲れる』とは、体が怠いとか足が重い、くらいの意味しかない。 春妃の父親は大手自動車メーカーの傍系会社の役職に就いている。不況が長引く昨今の経済状況では決して母体は安泰とタカをくくっていられる立場ではないらしく、ここ数年は帰宅するとむっつりと黙ってぼんやりテレビを眺めていることが多くなった。母親はそんな父に不満があるらしいが、小さな声で愚痴らしきことを言うだけで、春妃がいなければ夫と会話をしようとしない。 両親はもちろん春妃のバイトのことを知らない。結局自分の育てた子供のことを何一つ知らないまま、何十年後かには年老いて死んでいくのだろう。 後には一体何が残るのだろう。父の辿った、母の辿った道程の後に。 春妃には想像も出来ない。 けれど見える気がするのだ。このまま時間だけが流れて行った先の、自分の姿が。 今のままでは自分もきっと同じ道を辿る。それはほとんど運命だと思う。この世に生まれてよくよく考えもせずにダラダラ生きて、気がついたら死に物狂いで夢中になったことも、特に面白いこともないまま一生を終える。下手な四コマ漫画のようなつまらない人生だ。 目に見えている。だとしたらそれはいつかきっと来る。望むと望まざるとに関わらずだ。 ―――目の前にいる男の背中も、春妃の目には両親と同じように映った。 「何してんの?」 春妃が隣に腰掛けると、男は緩い動作で春妃の方に顔を向けた。瞳に読み取れるような表情はなく、どこかぼんやりと曇っている。 「外を、見ていたんだ」 「外の、何?」 「…空気を」 「はぁ? 空気?」 春妃の声の調子に気がついて、男が僅かに頬を弛ませた。 「空気って目には見えないだろ? 当たり前のようにそこにあるのを誰もが知っているのに、絶対に見えない。不思議だと思わないかい?」 「俺にはアンタの方がよっぽど不思議だよ。空気なんて見えるわけないじゃん、そんなこと言うの、変だって」 「変か…。そうなのかもな」 春妃は無言で男の手を取ると、少しはだけた自分のガウンの下に滑り込ませた。指を一本一本丁寧に開かせて、ゆっくりと胸元に押し付ける。胸の突起の場所を教えてやると、やがて男の指は自分の意思で動き出した。 試すように触れてくる動きがもどかしい。春妃は身を乗り出して男の着ているガウンを剥ぎ取ると、そっと唇を近づけた。 「もしも空気が見えたとして、それが何なの。なんか意味があるのか?」 春妃が言うと、男はいかにも楽しそうに笑った。 「君は真面目なんだな。意味のないことをするのは嫌いかい?」 「時間の無駄になることはしたかないかな。たとえあんたみたく知らない人とのエッチでもさ、何かしら意味ってあるもんじゃない?」 男の肌に丁寧に唇をつけながら言う。愛撫の途中に喋るのは、唇の動きでイレギュラーな快感を誘うための、ちょっとしたテクニックだ。 このバイトを始めた最初の頃、犀が春妃に教え込んだ。男は気持ち良さそうに首を振りながら、春妃の髪を撫でた。 「君からそんなことを言われるとは思わなかったな…」 「ウリやってる高校生からってこと?」 「違うよ」 男は春妃の体を支えて自分の前に蹲らせると、上から頭を軽く押した。春妃が素直に頭を下げる。まだほとんど変化していない性器に手を添えて唇をつけると、満足そうなため息が聞こえてきた。 「俺みたいな人間は、自分が意味のある存在だってことを、時々忘れちゃうことがあるんだよ。いてもいなくてもおんなじで、ある日突然俺がいなくなっても誰も気がつかないんじゃないかってね。見えてないなら空気みたいな存在なのかとも思ったけど、ひとつ決定的に違うところがあるだろ? 目には見えなくても空気は誰にとっても必要なもので、僕は違う。大きな違いだ」 形に添って舌を這わせるとそれは応えるように徐々に硬さを増して、春妃を少し満足させる。 「面倒くさいな、いつもそんなこと考えてんの? 」 「いつもじゃないよ。たまにね」 「寂しいの?」 「いや…寂しいんじゃなくてどちらかというと情けない、のかな」 「ふうん」 春妃が気のない返事を返すと、男は春妃の頭上でため息のような笑い声を洩らした。 「こんなこと言うとまた君に変な奴だと思われるね、きっと」 「別にどうも思わないけど。…そうだな、あんたみたいないい大人が、そういうことを人に言うのはちょっと情けないかも」 「厳しいな」 今度は声を上げて笑った。感じの良い笑い声だ。男は最初に思ったほど無愛想でも内気でもないらしい。直接触れ合うことで緊張が解けたのか、舌が滑らかになっている。客がリラックスしているのは、春妃にとっても都合が良い。 人は一度解放されると大胆になる。普段しないことをしてみたくなる。そして春妃を思いがけない方法で満足させてくれる。そういうことだ。 春妃にとってセックスとは、快感とリスクを同時に味わうためのお遊びだ。 自分の意志だけでなく他人の思惑も同時に絡まり合って、しかもそれを絶対に遠ざけることの出来ないセックスという行為は、スリリングで先が見えない。いつも望むままに絶頂が来るとは限らないし、下手をすると相手が極みを得たあと自分だけ取り残されて白けてしまうこともある。それもまた面白かった。 思い通りにならないから夢中になる。全く知らない相手だからこそすでに決められた道ではなく、知らない部分を手探りで一つ一つ見つけ出してその瞬間を作っていく。ときに相手に合わせて、ときに自分から強引に奪い取る。煽られて手に入れて弾け飛ぶ瞬間が、たまらなく、良い。 今日はどんな風に壊されるんだろう? そう考えるだけで春妃の頭の芯に、トロリとぬるい感触の何かが滲み出して来た。 おもむろに片手を左膝に掛けると、春妃は自分で足を持ち上げてソファの背凭れに乗せた。はだけたガウンが鳩尾の辺りまで捲れ上がって、僅かに抉れた腹部が覗く。衣服も下着も取り払われた下半身は当然のように男の目前に投げ出されて、さらによく見えるよう、深く膝を曲げさせられた。 あられもない体勢。固く天を向く春妃の性器はずいぶん前からひっきりなしに透明な滴りを纏いながら、躊躇も羞恥もなくただ解放される瞬間を待って小さく揺れている。男が露わになった肌に掌を当ててゆっくり撫でると、春妃はくぐもった声を漏らして身を捩った。 「ふっざけんな、ちゃんとしろよ…。アンタだってそんなユルいことがしたくて高い金払ってんじゃねぇだろ。それとも俺が思ったより若かったから遠慮してんの? 犀さんから何しても良いって言われなかった? 身体に傷を付けるようなことじゃなかったら、何だってしてやるから」 男がしばし動きを止めて、春妃の顔を上からまじまじと覗き込んだ。案外俺ら、年が近いのかも。さも可笑しそうに肩を揺らしている男を見上げながら、春妃はふとそんなことを思った。つられて少しだけ笑った。 「だからそこで笑ってないでさぁ…」 「よく喋る子だな」 「エッチの最中に喋るヤツって嫌い? 俺、暗いのとか湿っぽいのとかダメなんだけど、しょうがないか。何にも喋んないほうが良い? 黙る?」 男の態度が徐々に和らいだことで、最初に春妃が男に対して感じた嫌悪はかなり薄らいでいた。 好意を感じる相手とそうじゃない相手では自分の体の感度が全然違う。これならいけるかも。春妃は心の中でひとりほくそ笑む。どうせやるなら感じないより目一杯感じる方がずっといい。そんなコトは別に当たり前のことだろ? 「黙ってる方がいいか、喋った方がいいのか、いちいち聞かなきゃ解らない訳じゃないだろ? ナンバーワンの呼び名は嘘か?」 男が聞き取りにくい低音で呟く。 そうそう、そう来なくちゃ。その言われ方はめちゃくちゃ良いよ。身体の芯がゾクゾクする。オーケー、火が点いてきた。ノって来た俺はちょっとスゴイよ? 覚悟しな。 春妃は身体をずらして腰を高く掲げ直すと、右手でソファの下に放り出した革のリュックを指差した。 「なぁローション取ってよ、底の内張割いた中に入れてあるの。一応見つかったらヤバいしさ…」 男は言われた通りリュックを持ち上げて中を探ると、すぐにプラスティックの小さなボトルを取り出した。それを認めて、春妃はさらに膝を広げて軽く腰を上下させる。 「それそれ。それを、ここに、使って」 わざとゆっくり言葉を句切って言う。手を使わずにその部分を突き出してどうされたいかを相手に伝える。春妃の最上級のサーヴィスのひとつだ。男がごくりと喉を鳴らす。それでいい。もっとメチャクチャに俺を喰っていいから。 気が付くと、すでに2本目の指が特別な液体でぬるんだ春妃の後孔に差し込まれている。グイ、と内を抉られて、拡げられた入り口が勝手に痺れる。男の目の前に尻を突き出して、指と、尖ったボトルの口を一緒に銜える自分の姿を想像して、春妃は軽い眩暈を覚えた。 開かされるのは身体だけじゃない。 春妃の中の自我やプライド、固定観念や常識の壁がたった数枚の札びらを使って否応なくこじ開けられ嬲られて、全てが相手の掌の上に晒される。 それは屈辱? それともただ単に倒錯的な快感を煽るための道具に過ぎないのか? 「いいから、もう…来なよ。俺も欲しくなって来た」 自分の吐く息が熱い。…熱くなってきた。 挿れて この部屋エアコン効いてねぇのかよ 聞こえねぇの? はやく挿れてって言ってる なんて声だよ やめてソコ弱いおかしくなる見るなって言って情けねぇバカじゃねぇの俺に金払う価値なんてあんのかよ……………… 散らばり始めた思考がうざったい。とんでもない場所を深く抉られながらこんなことを考える自分は、本当は馬鹿なんじゃないかといつも思う。 そんなの、別にどっちだっていいだろ? イキたいトコロは結局同じなんだから。 体を起こして、胡座の上に跨る格好で春妃はもう一度男を飲み込んだ。 「あっ! んっあ…あ」 最奥の柔な壁に男の堅く尖ったものが触って、取り留めのないループがようやく途切れた。 ジワッと水が噴き出すような快感が、背筋をを伝って指の先まで滲む。この体位は結構好き。繋がりがより深くなって、欲しい所に欲しいモノが直接届くから。 春妃の背中がクン、と反って腰が浮き上がる。それを力任せに押さえつけて、男が春妃の腰に自分の腰を擦り付ける。ぴったり寄せられた肌が触れたり離れたりする度に、温んだ水音が大きく響く。大小の円を描くように奥を何度となく弄られて、春妃は一段と派手な声を上げ始めた。 「あぁあ、や、やっ…ぁん」 こういう声が自然に出る自分は好きだ。バカがつくほど快楽に正直な体。珍しく自分のことを愛おしく思う不思議な瞬間。 自分でしてもこんなふうに感じることは無い。暴力行為スレスレまで誰かに激しく突き上げられる時にだけ、壁が壊れる瞬間が来る。 破壊と引き替えの絶頂。 甘受と放出。落下する世界。そして何もかもが白濁する―――――飛ぶ、もうすぐ。 春妃は緩く開いた口の端から唾液を滴らせながら、男の背後で足をしなやかに交差させて引き寄せた。そのままソファにゆっくり背中を沈めた。 「お願い、乗って。上からされんのが好きなんだよ…」 男は体勢を変えて春妃の上から乗り上げると、ストレートに腰を打ち込み始めた。その顔に笑みのような表情が浮かんでいる。 「お嬢さんみたいなことを言う」 「バカ、お嬢さんがこんな下品なコト言うかよ。もっとハゲシクして。すごくイイっ、もうダメ、イクっ…なんてね……っん…あっ、あっ」 瞼の裏にぱちぱちと青白い光が散り始める。それは捻れながら七色に変化して、あっという間に春妃の正気を奪い去る。下腹に込み上げる切迫感に、男の台詞を茶化していた春妃の声音が急激に蕩けた。 「あ…も、う出そう…。良い? イっても……」 これは本気の懇願。ダメなんて言われたら気が狂う。壁が吹き飛ぶんだ、瞼が灼け付きそうなあの眩い衝撃で。もう待てない。 男が笑いながらいっそう激しく動き出す。確実に感じる所を突かれて、春妃は男の腰を逃さないよう夢中で足を絡めて引き寄せた。内壁が脈を打つように痙攣している。春妃の中で男もきっと息が止まるような思いをしているに違いない。 次の瞬間、額を指で弾くような衝撃と音を連れて、脳裏に一条の閃光が散る。 同時に、春妃は悲鳴を上げながら大きく体を震わせて吐精した。 柔らかい物がそっと後孔に押し当てられる感覚で、春妃は目を覚ました。軽く首を曲げて足下を覗き込むと、黒く大きな影が身体の上でゆらゆらと動いているのが見えた。 (ああ、終わったのか…) 春妃は怠い下腹に少し力を入れて、今にも液が流れ出しそうな不快な感触を我慢した。 ソファの上で性急に交わったあと、男に抱えられてベッドルームに移動して何度も執拗に貫かれた。気が弱そうに見えた男は何処かのスイッチが入ってしまったのか、春妃の意識が朦朧とし始めても春妃を抱くことを止めようとしなかった。 壁は何度も壊された。粉々に砕け散ったらまた次の壁を作る。そうすれば暇や退屈や言い訳でガチガチに塗り固めた新しい障壁を、それ以上の圧倒的な力によって再び破壊される瞬間が訪れる。 それはいつも短くて長い一瞬。 終わってしまえば何の意味も持たない、細々とした砂粒のような瞬間が幾つも寄せ集まって、長い長い時間の連なりを形取る。 男の抑えた呻きを聞きながら、春妃は心に浮かんだその鮮やかなイメージを忘れないよう、懸命に心に刻み込んだ。 そんなことを思いついたのは今日が初めてだった。 男は春妃の上に屈み込んで体を丁寧に拭いてくれていた。わざわざバスルームで濡らしてきたらしく厚手のタオルは湿っていて、肌に当たるとひんやりした。 「何してんの? 変な人。んなこと自分でするからいいよ…」 「いいからじっとして。もうすこしで終わるから」 そう言うと、男は春妃が体を起こそうとするのを丁寧に押し留めた。片足ずつ交互に持ち上げては内股から膝、体を返して浮き出た肋骨に沿ってゆっくりとタオルを動かしている。 自分を買った相手にそんなことをされるのは、本当は少し居心地が悪い。急に現実に逆戻りして、自分の元いた場所を否応なしに思い知らされるからだ。取り繕った自分の陰から、現実の自分が顔を覗かせる瞬間はたまらない。手放していた理性を取り戻す瞬間だ。 「あんたってやっぱヘン。ふつう客はそんなことしないもんだよ。決してきれいなもんじゃないだろ? あとからシャワーで流せばいいことなんだし」 「そうかもしれないけど、」 男は少し躊躇って、 「君をそのままの姿で放っておくのは、なんとなく嫌だったから」 思いがけない言葉だった。 「どうしてそんなこと思うの?」 「駅前で初めて見た君はすごく、…なんて言ったらいいのかな、きれいだったって気がするから。だから元通りにしたいだけ。正直に言うと、きれいな子でよかったって思ったのもあるし…って、こんなこと言ったらまた変だって思われるのかな」 そう言うと、男は照れ臭そうに細い目を忙しなく瞬かせた。男の瞳にさっきまでの情欲の跡がまるで感じられないのは不思議だった。春妃は笑った。決して呆れたわけでも馬鹿にしたわけでもなく、ただ心が動いた。目に見えない男の心の中がまともに伝わってくるようだと思った。 「正直だね。そういうのちょっと好きだよ」 「好きって言葉は響きがいいね。意味なんかなくても音を聴いているだけでなんだかホッとする。優しい言葉だ」 「なんか俺もすげえ気持ちイイ。誰かに触られるのってこんなに気持ち良いもんだっけ? エッチよりずっといいかも」 「それは…よかったのかな? 複雑だな」 男は少し笑んで、止めていた手をまた動かし始めた。 両親に甘える年齢を過ぎてから、セックス以外で自分を他人に無防備に委ねることなど滅多にない。まるで、生まれたばかりの赤ん坊に戻ってしまったような気分だ。頭の中がふわふわして、このまま眠ってしまいそうだった。 「あんたよくヒトから『いい人』とか『面倒見がいい』とか言われない?」 「さあ、どうだろう? そんなこと面と向かって言われた覚えはないかな。そんな、誰にでも『いい人』なんてこの世にいないよ。君がそう思ってくれるのは嬉しいような気がするけど」 「そうなの? どうして?」 「んー…どうしてだろうな」 男が曖昧に言葉を濁すのは、おそらく答えようがないからだろう。春妃が言った言葉にか、自分にか、あるいはその両方か。なんとなく、もう少し聞いてみようかという気になったけれどやめておいた。 春妃はうっすら微睡みながら、くすくすと肩を揺らす男の顔を見つめた。 「…ね、少し眠っていい?」 「いいよ、良い時間になったら起こしてあげる。五時頃でいいか?」 半分冗談で言ったつもりが、男が何でもないことのようにあっさり言うから、春妃はまた笑ってしまった。 コクンと頷いた途端に、急に眠気が襲ってきた。素肌を包むように掛けられた毛布の感触が気持ちよかった。 「食事でもして行かないか」と引き止める男の誘いをキッパリ断って、春妃はゆっくりと男に背中を向けた。 「エッチの後に一緒にメシ食ったりって、ダッセェよ。また俺に会いたくなったら犀さんに言って。体が空いてればいつでも付き合うから」 わざと蓮っ葉に聞こえる言葉を選んで言う。肌を合わせると心まで通じたような気分になるのは、この場限りのただの幻だ。春妃はそれをとっくに知っている。 春妃が一度でも金を貰った相手と個人的に付き合うことは無い。こうして出会った中の誰かひとりと向き合って、自然に足を洗っていく同業もたまにはいるけれど。 「じゃあね」 「あ、」 春妃が歩き出すと、後を追い掛けるように男が叫んだ。 「君の名前、聞いてなかった。なんて言う?」 「―――春妃」 一瞬だけ足を止めて短く答えた。 声が男に届かなければそれでいい。 「ハルヒか、きれいな名前だ。一度聞いたら忘れないな」 「だといいね」 それもいい。 思わず口をついて出た言葉を振り払うように、春妃はすでにそこにいないかも知れない男に向けてひらひらと手を振って、日常を詰め込んだロッカーブースへと歩き出した。 ポルノだね。ポルノだよ。それは昇華を得るための。羞恥、嫌悪、後悔。実体のない理性を潔く吹き飛ばす為の発破、ダイナマイト。ポルノとは実はそういうものか? いや単なる偏見ですが。 |